株式会社HY コラム

相続・空き家・終活の実務を、根拠つきで整理しています。

横浜・湘南の相続不動産が「負動産」になりやすい条件と、売却・買取・国庫帰属という3つの出口

相続した不動産が、売れにくく管理の負担だけが残る「負動産」になりやすいかどうかは、横浜や湘南エリアでも、再建築不可、共有持分、急傾斜地、幅員4m未満の道路への接道といった条件に当てはまるかどうかで大きく左右されます。実家の売却や管理に悩む相続人は、売却・買取・相続土地国庫帰属制度という3つの出口を知ることで、穏やかな解決に向けて一歩を踏み出すことができます。

木のテーブルに置かれた、積み木の小さな家と、紺色のリボンで結んだ巻き紙、鉢植えの観葉植物。

相続した不動産が「負動産」になりやすい条件は何ですか

横浜や湘南エリアで相続した不動産が「負動産」になりやすい主な条件は、再建築不可物件、共有持分、急傾斜地、幅員4m未満の道路への接道の4つです。これらの条件に当てはまる不動産は、資産価値よりも維持管理費用や固定資産税の負担が重くなる傾向があります。

負動産になりやすい4つの条件の図。再建築不可物件(接道義務を満たさない土地は原則として建て替えができず、買い手がつきにくい)、共有持分(権利関係が複雑になると処分が難しくなりがち)、急傾斜地(建物の処分が難しくなりがち)、幅員4m未満の道路への接道(2項道路であればセットバックをすれば建て替えができるが、使える敷地は狭くなる)。

建築基準法第43条第1項により、建築物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2メートル以上接している必要があります。この接道義務を満たさない土地は、原則として建て替えができない「再建築不可物件」となり、買い手がつきにくくなります。一方、幅員4m未満の道であっても、建築基準法第42条第2項により特定行政庁が指定した道(いわゆる2項道路)であれば道路とみなされ、道路の中心線から原則2メートルの位置まで敷地を後退(セットバック)すれば建て替えができます。ただし後退した部分には建物を建てられないため、使える敷地は狭くなります。急傾斜地の建物や、権利関係が複雑になった共有持分も、同様に処分が難しくなりがちです。

売れない不動産を放置して管理が行き届かなくなると、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市区町村から管理不全空家等として指導や勧告を受けることがあり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例の対象から外れます。売却や買取、相続土地国庫帰属制度といった出口を知ることで、選択肢を広げることができます。早く話すほど穏やかな選択肢が多く残りますので、まずは帰省の夕食のあとに「この家、これからどうしようか」と家族で一言だけ切り出してみることから始めてみてください。その場で答えを出す必要はありません。

再建築不可や幅員4m未満の道路に接する物件はどのように見分けますか

再建築不可物件や幅員4m未満の道路に接する物件を見分けるには、前面道路が建築基準法上の道路かどうかと、その道路に敷地が何メートル接しているかを確認することが基本です。

建て替えができるかの見分け方の図。確認することは、1 前面道路が建築基準法上の道路かどうか、2 その道路に敷地が何メートル接しているか。建築基準法上の道路に接していない土地や、接する部分が2メートル未満の土地は、原則として建て替えができない(建築基準法第43条第2項の認定・許可を受けられる例外がある)。幅員4m未満でも2項道路に接する土地は、道路の中心線から原則2メートルの位置まで敷地を後退するセットバックをすれば建て替えが可能。

建築基準法上の道路に接していない土地や、道路に接する部分が2メートル未満の土地は、原則として建物を建て替えることができません(建築基準法第43条第1項。同条第2項の認定・許可を受けられる例外があります)。一方、幅員4m未満でも2項道路に接する土地は、セットバックをすれば建て替えが可能です。横浜市内や湘南地域の傾斜地や歴史ある住宅街では、こうした接道の確認が必要な古い戸建てや土地が少なくありません。判断に迷う場合は、登記事項証明書や公図、測量図とあわせて、前面道路の種別を市区町村の建築指導の窓口で確認することで、負動産になりやすいかどうかを把握しやすくなります。専門家に相談する前に、まずは固定資産税の課税明細書を手元に用意し、所在地や地積を確認することから無理のない範囲で進めてみてください。

共有持分や急傾斜地の不動産を処分するにはどうすればよいですか

共有持分や急傾斜地の不動産を処分するには、専門の不動産会社による買取や、一定の要件を満たした土地を国に引き渡す相続土地国庫帰属制度を活用する方法があります。

3つの出口の図。売却(建物の状態や接道状況によってはそのまま売却できる)、買取(専門の不動産会社による買取)、相続土地国庫帰属制度(一定の要件を満たした土地を国に引き渡す制度)。国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈により土地を取得した人が法務大臣の承認を受けるもので、申請先は法務局。建物がある土地は申請できず、一定の勾配・高さの崖があって通常の管理に過分の費用や労力がかかる土地などは承認されない。承認された場合は負担金の納付も必要。

共有持分の不動産は、他の共有者との意見調整がつかないと、不動産全体を一般の市場で売ることが難しくなります。自分の持分だけであれば他の共有者の同意がなくても売ることはできますが、買い手は共有持分を専門に扱う不動産会社などに限られやすくなります。

相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈により土地を取得した人が、法務大臣の承認を受けて土地を国庫に帰属させる制度で、申請先は法務局です(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律 第2条第1項)。建物がある土地は申請できず(同条第3項)、一定の勾配・高さの崖があって通常の管理に過分の費用や労力がかかる土地などは承認されません(同法第5条第1項)。承認された場合は負担金の納付も必要です。すべての物件がすぐに手放せるわけではありませんが、売却、買取、国庫帰属という3つの出口を知ることで、自分たちの状況に合った方法を落ち着いて選べるようになります。


よくある質問

Q: 相続した実家が古くてもそのまま売却できますか?

A: 建物の状態や接道状況によってはそのまま売却できますが、再建築不可や著しい老朽化がある場合は、買取や、解体して更地にしてからの売却も含めて検討することになります。

Q: 共有持分だけの不動産でも売却できますか?

A: 自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できます。ただし、買い手は共有持分を扱う専門の不動産会社などに限られやすくなります。

Q: 相続土地国庫帰属制度はすべての土地が対象になりますか?

A: すべての土地が対象になるわけではありません。建物がある土地は申請できず、一定の崖がある土地など管理に過分の費用や労力がかかる土地は承認されない場合があります。


監修:株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)

代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP/公認不動産コンサルティングマスター)

宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号

横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階

https://hyconsulting2021.jp/

※本コラムは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務判断は専門家にご相談ください。

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